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メモ 2013.10.10~

「誤った日本語」について調べてみます。

第1章 用例採集  1-1-1「的を得る」の用例(1960年代)

的を得る

この章では、「的を得る」や、それに関連する表現の用例を採集してみます。この記事では「的を得る」を取り上げます。

 

日本国語大辞典』第2版 第12巻 (小学館 2001年) の「的」の項 (p.471) には、「まと を 得 (え・う) る」の子見出しがあり、初出として高橋和巳の用例が載っています。

※用例・文献の引用方法について

1970年

むろん三崎の出張に同伴者などはいなかったが、しかし城よし子の質問は実は的をえていた。

(高橋和巳「白く塗りたる墓」『人間として』第1号 筑摩書房 p.348 下段15行目)
http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/2298937/175 (国立国会図書館内限定公開)
国立国会図書館デジタルコレクション (http://dl.ndl.go.jp/) より

 

これよりも古い用例があるかを調べてみました。1960年代後半の用例は比較的簡単に拾うことができるので、1965年のものから遡って採集してみました。ここでは1960年までの用例を挙げてみます。1959年より以前のものは、次回以降の記事に回します。

※「的確 な/である」「核心を 突く/突いた」の意味で使われているものを採集したつもりですが、私の誤解があるかもしれません (これは、この後に取り上げる、「的を射る」などの、他の用例についても同様です) 。また、用例によって微妙に意味の相違もあります。 

1965年

しかし、今年度の外国鶏の動きをみているとこの調査、分析がその的を得ていることに驚かされる。

(「なぜ外国鶏を飼うようになったか (上) 」『養鶏之日本』第50巻 11月号 養鶏之日本社 p.25 上段 本文3行目)
http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1737373/15 (国立国会図書館内限定公開)
国立国会図書館デジタルコレクション (http://dl.ndl.go.jp/) より

 

1965年

年次審査も今回で第三回目となり、質問は詳細かつ的を得たものが多くわが国の一層の援助努力強化を期待する空気が強かった。

(『わが外交の近況』第9号 外務省 p.251 7行目)
http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/bluebook/1965/s40-5-2.htm
※外務省サイト (http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/bluebook/index.html) より

 

1965年

したがって、かれが経験哲学によって否定することのできない正しい原理を打ち立てたとはいえ、かれを自然科学者と考えたり、近世自然科学の真の確立者と考えることはあまり(まと)を得ていない。

(池田大作『科学と宗教』鳳書院 p.104 8行目)
http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/2976986/63 (国立国会図書館内限定公開)
国立国会図書館デジタルコレクション (http://dl.ndl.go.jp/) より

 

1965年

〔前略〕これは半ば的を得た意見だと思う。

(上杉省和「有島武郎キリスト教入信とその周辺 ―新資料による覚え書き―」『国語国文研究』第31号 北海道大学国文学会 p.54 下段3行目)

 

1965年

すると彼は故意に仏法 Buppo の諸問題や、日本のさまざまな宗派をやっつけ、神のこと、われらの聖なる信仰のことを非常に的を得た理論と魂をこめた熱情をもって語り、彼らに説教し始めた。

(佐久間正・会田由 [訳] アビラ・ヒロン「日本王国記」『大航海時代叢書』第11巻 岩波書店 p.354 本文9行目)
http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/2998500/182 (国立国会図書館内限定公開)
国立国会図書館デジタルコレクション (http://dl.ndl.go.jp/) より

 

1965年

ユングが過去に執着をもち、ほとんど現在と未来には惹かれなかったこと、石は彼が大好きな物であり、子供の頃、かれは神が大きな糞を教会に落してそれを破壊するという幻想をもったという話を考えるとき、それはまさに的を得ている。

(鈴木重吉 [訳] エーリッヒ・フロム『悪について』紀伊国屋書店 p.47 15行目) [1976年 第20刷]

 

1965年

アメリカにおける猟官主義がその一つのあらわれであったという辻教授の指摘は的をえているということができる。

(中山和久「公務員の労使関係法と〝近代化〟 ―労働法における近代化―」『比較法学』第2巻 第1号 早稲田大学比較法研究所 p.135 本文13行目)

http://www.waseda.jp/folaw/icl/public/review/back-number1-10/ (リンク先にPDFファイルあり)
早稲田大学比較法研究所 (http://www.waseda.jp/folaw/icl/) より

 

1965年

春海のこの方針は的を得ていた.

(広瀬秀雄「渋川春海の横顔」『天文月報』第58巻 第9号 日本天文学会 p.207 左段29行目)
http://www.asj.or.jp/geppou/archive_open/1965/pdf/19650909.pdf
※天文月報オンライン ( http://www.asj.or.jp/geppou/) より

 

1965年

現象的に言えば確かにそう言い得るが、一般的且つ理論的に言えば、所得が高ければ生命保険料貯蓄のごとき長期的な契約上の貯蓄は、その貯蓄行動の可能性を強めると言う事の方が的を得ていよう。〔p.351 1行目〕

個人業主のそれと生命保険需要との関係を、病気や老後の生活安定という要因で結びつけることは、貯蓄保有状況・平均貯蓄保有額および保有増加計画という面からいえば、ある程度的を得ているといえるが、貯蓄保有総額別世帯分布という面からいえばそうでもない (第七表) 。〔p.353 2行目。文に付された注釈番号は省略〕

(星野良樹「生命 (貯蓄) 保険需要の動向 ―特に中低所得階層を対象として―」『經營と經濟』第45巻 第2-3号 長崎大学経済学部研究会)
http://hdl.handle.net/10069/27695 (リンク先にPDFファイルあり)
長崎大学 学術研究成果リポジトリ (http://naosite.lb.nagasaki-u.ac.jp/dspace/) より

 

1964年

〔前略〕これは中央委員会における山崎中央委員 (東京) の的を得自己批判であった。

(「思想を統一し大衆のなかに ―社青同第四回大会以降のたたかいの総括から―」『社会主義』第155号 社会主義協会 p.58 下段14行目)
http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1415958/31 (国立国会図書館内限定公開)
国立国会図書館デジタルコレクション (http://dl.ndl.go.jp/) より

 

1964年

全体の筋に対する見解ではなく、短い語句に対するそれであるので、あるいは、的を得ていない面もあるかもしれない。

(葛西庸三「サークル論の発展のために ―岸本論文を読んで―」『教育』第14巻 第12号 国土社 p.71 2段目)

 

1964年

神山「それね、まことに的を得た質問なんですけれども、夕べはじめて相対して、そして今日ここまでこうやろうということで、〔後略〕

(神山茂夫「三、記者会見 (一九六四年九月一日) 」『続・日共指導部に与う』刀江書院  p.262 9行目)
http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/3027657/135 (国立国会図書館内限定公開)
国立国会図書館デジタルコレクション (http://dl.ndl.go.jp/) より

 

1963年

総合の大病院に行けば、十中九分九厘まで、延々と待たされる。待たされても(まと)を得た科に、すぐ連れて行かれるのは幸運な方で、大方はまず科から科に、「しらべましたがあなたの病気は××科の方の担当です」などと言われて廻される。

(犬養道子『暮しの中の日本探検』中央公論社 p.174 13行目)
http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/2981213/91 (国立国会図書館内限定公開)
国立国会図書館デジタルコレクション (http://dl.ndl.go.jp/) より

 

1963年

おれは、あのオルペウス教のお経の文句は的を得ていると思うな。

(小田実『大地と星輝く天の子』講談社 p.163 下段8行目)
http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1649760/87 (国立国会図書館内限定公開)
国立国会図書館デジタルコレクション (http://dl.ndl.go.jp/) より
※2016年6月10日追記:「日国友の会」に投稿済 (こちら)

 

1963年

否、それでもまだ必らずしも的を得た評であるとはいえまい。

(川野克哉「中ソ対立の底流を探る」『政策月報』第86号 自由民主党広報委員会出版局 p.73 下段2行目)
http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1385610/38 (国立国会図書館内限定公開)
国立国会図書館デジタルコレクション (http://dl.ndl.go.jp/) より

 

1963年

従って以下のことは的を得ていないかも知れませんが、考えを述べてみます。

(山田孝吉「Ⅳ種鶏家として思うこと」『鶏友』第306号 鶏友社 p.27 3段目1行目)
http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1748543/14 (国立国会図書館内限定公開)
国立国会図書館デジタルコレクション (http://dl.ndl.go.jp/) より

 

1962年

だが考えてみれば、この市岡専務の着眼は的を得ていた。

(「日本酒界近代化の牽引車」『実業之日本』第65巻 第9号 実業之日本社 p.62 3段目15行目)
http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/2269913/32 (国立国会図書館内限定公開)
国立国会図書館デジタルコレクション (http://dl.ndl.go.jp/) より

 

1962年

また,Herzberg-Teller効果,Jahn-Teller効果,Renner効果などについても特に美事ではないが的を得た説明がある。

(岡武史「Dudley Williams編: Methods of Experimental Physics Volume 3: Molecular Physics, Academic Press, New York 1962, 760頁, 16×24cm、$19.00.」『日本物理學會誌』第17巻 第7号 日本物理学会 p.549 右段4行目)
http://ci.nii.ac.jp/naid/110002066972 (リンク先にPDFファイルあり)
国立情報学研究所 CiNii Articles (http://ci.nii.ac.jp/) より

 

1962年

――以上三氏の意見は「週刊朝日」 (昭和二十九年九月五日号) 所載のものであるが、さすがに当代、雑誌づくりのベテランのみた意見だけに的を得て面白い。

(小川菊松『日本出版界のあゆみ』誠文堂新光社 p.210 14行目)
http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/3047993/117 (国立国会図書館内限定公開)
国立国会図書館デジタルコレクション (http://dl.ndl.go.jp/) より

 

1962年

内垣が、この料亭に顔がきくという美杉の勘は、やっと質問の的を得たようだ。

(黒岩重吾『肌は死なない』文藝春秋新社 p.229 6行目)
http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1649264/117 (国立国会図書館内限定公開)
国立国会図書館デジタルコレクション (http://dl.ndl.go.jp/) より
※2016年6月10日追記:「日国友の会」に投稿済 (こちら)

 

1962年

小島氏の否定する老大家の指摘は、しかし、〈詩魂〉を〈連帯をもとめるエネルギー〉=〈対等の協力〉と置換すれば、流石に映画評論の大御所として、今日ではだれも相手にしないが、昨日まではその草分けから第一線にいただけはあって、軸を百八十度回転させた対立極において、気味の悪いほど的を得ていて、パラドックスとして、連帯をもとめるエネルギーを失なったと黒沢を〈責める〉ぼくらの側に立つものだろう。

(田中章雅「〈対等の協力〉の喪失」『映画評論』第19巻 第7号 映画出版社 p.79 上段28行目)
http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/2256099/40 (国立国会図書館内限定公開)
国立国会図書館デジタルコレクション (http://dl.ndl.go.jp/) より

 

1962年

この人材の起用は、的を得たものであった。

(戸川猪佐武『昭和外交史』雪華社 p.135 本文12行目)
http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/2997027/75 (国立国会図書館内限定公開)
国立国会図書館デジタルコレクション (http://dl.ndl.go.jp/) より
※2016年6月10日追記:「日国友の会」に投稿済 (こちら)

 

1961年

あなたの質問は的を得ていますよ。

(四条貫哉 [訳] リチャード・ブルックス「プロデューサー」『映画評論』第18巻 第2号 映画出版社 p.115 上段5行目)
http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/2256082/58 (国立国会図書館内限定公開)
国立国会図書館デジタルコレクション (http://dl.ndl.go.jp/) より

 

1961年

これは、品禄法と問にもあらわされているように、条文には位階の場合しか記載していないから、「依品」給禄法はどうなのか、ということであり、氏の考えは的を得ていない。〔「位階」に傍点あり〕

(高橋崇「大宝禄令「季禄」条の復元とその解釈」『文化』第25巻 第3号 東北大学文学部 p.458 15行目)

 

1960年

しかし統合参謀本部に対する一般の批判の中には的を得ていないものもある。

(「Foreign Affairs 1月号全篇の紹介」『世界経済』第15巻 第2号 [復刊第42号] 世界経済調査会 p.55 最終段23行目)
http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/2283791/29 (国立国会図書館内限定公開)
国立国会図書館デジタルコレクション (http://dl.ndl.go.jp/) より

 

1960年

この点、寺社領庄園、とりわけ本所領家に対する態度として太平記は「本所無スル権門高家ノ武士共、(37)」といっているのは的を得ていると言うべきであろう。

(北爪真佐夫「南北朝期の天皇制論 ―古代国家解体期の武士階級を中心として―」『歴史評論』第121号 春秋社 p.72 下段9行目)

 

1960年

とにかく、ぼくは『乾いた湖』という失敗作についての指摘が、もっと的を得てほしかったと思う。

(寺山修司「瓶詰めの猿論 ―映画評論「巻頭言」への御返事―」『映画評論』第17巻 第12号 映画出版社 p.47 3段目11行目)
http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/2256080/24 (国立国会図書館内限定公開)
国立国会図書館デジタルコレクション (http://dl.ndl.go.jp/) より
※2016年6月10日追記:「日国友の会」に投稿済 (こちら)

 

1960年

日本の場合にその客觀的な條件が許さなかつたのであるが、インドの場合とても、各州間に無智の相互交流 (Mutual exchange of ignorance) が支配的であると慨嘆かつ内省する立場が的を得ているのを知つて、驚き入つたのである。

(中村平治「ビピン・チャンドラ・パールの政治思想について」『東洋文化研究所紀要』第20册 東京大学東洋文化研究所 p.215 4行目)

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