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メモ 2013.10.10~

「誤った日本語」について調べてみます。

2-2 使用実態調査 「現代日本語書き言葉均衡コーパス(少納言)」を使って

次に、「現代日本語書き言葉均衡コーパス」 (国立国語研究所文部科学省 開発) を使って、1970~2000年代における「〈的/正鵠〉を〈射/得〉」の使用状況を調べてみます。検索は「少納言」 (http://www.kotonoha.gr.jp/shonagon/) のサイトを利用しました。このコーパス (言葉のデータベース) では、書籍・雑誌・新聞・ブログなど、様々な媒体がサンプルになっています。各媒体によってデータの発行年に偏りがありますが、書籍は1971~2005年、ブログは2008年のデータが使われているので、全体で見ると、ここ約40年間で使われた言葉が対象となっています (詳細はリンク先の「本サイトの検索対象となっているサンプル」をご覧ください) 。

集計結果と分析

集計結果は次の通りでした (集計方法は最後に詳述しました) 。

  用例数 構成比
的を射 81 55.5%
的を得 29 19.9%
正鵠を射 27 18.5%
正鵠を得 9 6.2%
(合計) 146 100.0%

前回の「神戸大学附属図書館 新聞記事文庫」の集計結果と比べると、傾向に大きな違いが見られます。相違点をまとめてみました。

  神戸大学附属図書館
新聞記事文庫
(戦前)
現代日本語書き言葉
均衡コーパス
(戦後)
最も使用頻度が
高い語形
「正鵠を得」
(構成比 約98.9%)
「的を射」
(構成比 約55.5%)
「的を得」に
ついて
使用例なし 使用例あり
(構成比 約19.9%)
「正鵠を射」と
「正鵠を得」の
 比率
ほとんど
「正鵠を得」
のみ
3:1の割合で
「正鵠を射」の
方が多い

そのほかに気づいた点を列記しておきます。

  • サンプルデータを「Yahoo!ブログ」と「Yahoo!知恵袋」に限定して用例数を数えてみると、「的を得」は16例、「的を射」は8例となり、「正鵠を得」と「正鵠を射」の使用例はありませんでした。「的を得」は、校正・校閲が入らない文章のなかで多く使われていることが分かります。

  • 用例のなかで、「〈的を得る〉は誤用」ということについて論じられているものが3例ありました (「的を射」で1例、「的を得」で2例) 。

  • 「正鵠を得」の用例のなかで、著者名が渋沢栄一 (生1840-没1931) になっているものが1例ありました。

 

※「現代日本語書き言葉均衡コーパス」のデータ集計について
  • 調査結果は2013年7月5日現在のものです。

  • 「用例数」は、検索結果のなかから以下の3つのデータを除外したものです。

    • 調査対象とは無関係のもの (「的を得」など)
    • 重複データ (「的を射」の検索結果で2例ありました)
    • 「的確 な/である」「核心を 突く/突いた」の意味から外れるもの
  • 《正鵠・せいこく・せいこう・セイコク・セイコウ・的・まと・マト》 ×《得・え・射・い》を使った全ての組み合わせ (32パターン) を検索しました。そのなかで有効な用例を採集できたのが、「的を射」「的をい」「的を得」「マトを得」「的をえ」「正鵠を射」「正鵠を得」の7パターンでした。同じ語形で表記だけが異なるものは、1つにまとめて集計しました。

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久御山