メモ 2013.10.10~

「誤った日本語」について調べてみます。

1-9 その他の用例

その他、「的を得る」に関連した表現の用例を挙げておきます。

※用例・文献の引用方法について

「的を逸す」

1930年

併し限界效用學派が「貨幣の價値測度たる職能」に對して述べた反對思想はその的を逸してゐる、何故かといへば彼等は客觀的交換價値や價格を論究してゐないで使用價値を論じてゐるからである。

(岩井茂「價値單位の研究 (三) 」『商工經濟研究』第5巻 第1号 高松高等商業学校商工経済研究室 p.68 2行目)
http://shark.lib.kagawa-u.ac.jp/kuir/metadata/3907 (リンク先にPDFファイルあり)
香川大学 学術情報リポジトリ (http://shark.lib.kagawa-u.ac.jp/kuir/) より

 

「的をつく」

1935年

この一見甚だ辛辣に古い衣を突き破つてゐるやうに見えるこの作者の「からさ」が、実は甚だ好気分にこの「からさ」に溺れてゐるのであつて、この程度の「からさ」は危険ではあるが一向本質的に正しく的をついてゐるとは考へられない。

(坂口安吾「悲願に就て ―「文芸」の作品批評に関聯して―」)
https://www.aozora.gr.jp/cards/001095/files/45828_39318.html
青空文庫 (https://www.aozora.gr.jp/) より 

青空文庫のみでの用例確認です。書籍は見ていません。

 

1953年

君の新聞記者のカンは正確に的をついていたのだよ。

(坂口安吾「選挙殺人事件」)
https://www.aozora.gr.jp/cards/001095/files/42948_35648.html
青空文庫 (https://www.aozora.gr.jp/) より

青空文庫のみでの用例確認です。書籍は見ていません。 

 

1987年

ものを言って、それが真理の的をついたと自信がもてることがある。

(林四郎『漢字・語彙・文章の研究へ』明治書院 p.484 最終行)

 

「的を()る」

「的を射る」の「射」に「え」の振り仮名がついている用例です。

2002年

語られた言葉全てが
的 (まと) を射 (え) ている事に気付き
多くの言葉を学習として捉 (とら) える事で
諦 (あきら) める前に遣り遂げてみよう!という
新たなる観点に行き着いたのです………

(橋本冬也『おもい…』文芸社 p.80 最終行)
https://books.google.co.jp/books?id=m_9ufAGBShgC&lpg=PP1&hl=ja&pg=PA80#v
Googleブックス (https://books.google.co.jp/) より
※2016年10月1日現在、リンク先のプレビュー (紙面の画像) が見られなくなっています。

 

2008年

(まと)()
いる…
〔漫画の吹き出し

(尾田栄一郎ONE PIECE』第50巻 集英社 p.173)

 

「準的を得る」

1702?  (元禄15) 年

此等の釋義は籠通して未だ本願の正意に達せず、眞假を分たず、權實の辨なし、大旨を失せずと雖も、準的を得難し、

(峻諦『佛說無量壽經會疏』卷第一 [p.5とp.19の2種の頁数が併記] 上段12行目)
[真宗叢書編輯所 [編] 『真宗叢書』第3巻 前田是山両和上古稀記念会 1929年 所収]
http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1917901/18 (国立国会図書館内限定公開)
国立国会図書館デジタルコレクション (http://dl.ndl.go.jp/) より

 

「正的を 得る/失す/射る」

1896年

此論或は過甚に失す、安覺、義公に侍すること久し、必しも其正的を得ることあたはさるも、之を誣るには至るべからず、

(内藤耻叟「日本史論賛を刪ること」『皇典講究所講演』第18巻 第171号 皇典講究所 百七十一ノ十四 1行目)
https://books.google.co.jp/books?id=TdYtAAAAYAAJ&hl=ja&pg=PP22#v
Googleブックス (https://books.google.co.jp/) より

 

1890年

大凡名利慢嫉の際に寓して聖賢畵一の爲政を票ぜるは正的を失するものに似たり

(行誡 [他] 『雪窓答問』 p.35 7行目)
http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/757599/23
国立国会図書館デジタルコレクション (http://dl.ndl.go.jp/) より

 

1962年

この問答も、問が正的を射ている通り、答もまた正的を射てみごとである。

(西尾実「解説」『古典日本文学全集』第14巻 筑摩書房 p.99 上段3行目)
http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1661312/54 (国立国会図書館内限定公開)
国立国会図書館デジタルコレクション (http://dl.ndl.go.jp/) より

 

「鵠的を得る」

1905年

吉田東伍氏の地名辭書には、梅津を禹武津の訛となし、浦の神を長江村に存ずる式の賀茂郡阿久都志彥神社といはれしは考證の鵠的を得たり。

(久米邦武『日本古代史』 早稲田大学出版部 p.764 10行目)
http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/772278/393
国立国会図書館デジタルコレクション (http://dl.ndl.go.jp/) より

 

1908年

故に此の主善なるものを學理的に知悉することは、必ず吾人の一生を指導感化して、一層確實に善の目的に適中するを得せしむること、恰かも弓手の狙ひをとるべき鵠的を得たるが如くならしむる所以ならずんばあらざるなり、

(元田作之進・高橋正熊 [訳] アリストテレース倫理学』警醒社 p.3 4行目)
http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/991624/20
国立国会図書館デジタルコレクション (http://dl.ndl.go.jp/) より

 

「正鵠を獲る」

1924年

而して當時之に關する種々の調査ありしも、何れも混雜の際に屬し之が正鵠を獲がたきものあるを以て、臨時震災救護事務局は十一月十五日を期し罹災地方一般に亙りて人口調査を施行し、之と同時に東京市及近接町村並に神奈川縣下に於ける失業者の調査を施行した。

(社会局統計課 [編]『労働統計要覧』帝国地方行政学会 p.133 上段)
http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/976138/132
国立国会図書館デジタルコレクション (http://dl.ndl.go.jp/) より

 

「正鵠的を得る」

1994年

私は、左近議員の意見が正鵠的を得たものだと考えます。

(加藤三喜夫「一月二十一日は魔の金曜日だった」『進歩と改革』第508号 進歩と改革研究会 p.60 2段目13行目)
http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/2872562/32 (国立国会図書館内限定公開)
国立国会図書館デジタルコレクション (http://dl.ndl.go.jp/) より

久御山