3-4 辞書で使われる「的を得る」
3-2 の記事で見た通り、「的を得る」が国語辞典で解説されるようになったのは1982年からのようです。しかし、他の分野の辞書を見てみると、もう少し以前から「的を得る」は登場しています。また、語釈 (語句の説明文) ・子見出し・例文のなかなどで、普通の慣用句として扱われているのが確認できます。
※第11版 (2000年) も同じ記述でした。
※『新装版 現代和独辞典』第1刷 (2009年) も同じ記述でした。
1984年
relevant,pertinent,apposite,germane 関連のある,⦅質問・意見などが⦆的を得た,ぴたりと合った⦅…に to⦆.
(『英語反対語・対比語辞典』初版 東京堂出版 p.88)
※再版 (1989年) も同じ記述でした。
※第5版では上記の例文はなくなっていて、「的を射る」を使った他の例文が載っていました。
※ネット版の『新和英中辞典』 (https://ejje.weblio.jp/content/%E3%81%BE%E3%81%A8) には、「この作品に対する彼の批評は的を得たものとはとうてい言いがたい.」という例文がありました。
※第2版 (2006年) も同じ内容でした。第3版 (2011年) は「的を射て」に訂正されていました。
これらのなかには、校正ミスで載ってしまったものもあるのでしょう。とはいえ、辞書のように厳格に言葉を扱うべきところで「的を得る」が使われているという事実は、この慣用表現が有識者の間でも広まっていることを示していると言えるのではないでしょうか。